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クライアントアラート

労働市場についての米国独占禁止法による規制と展開 - Recent Developments in Antitrust Enforcement in Labor Markets

August 22, 2024

By Craig Y. Lee,Michael F. Murray,Emma Hutchison,& 新井 敏之

労働市場に対する独占禁止法による規制の強化

米国および国際的な競争法規制当局は、労働市場での自由競争に対する関心を募らせています。2016年、米国の反トラスト局である司法省(DOJ)と公正取引委員会(FTC)は、人的資源の専門家向けに共同で反トラストガイダンスを発表し、従業員の「ノー・ポーチ」(従業員引き抜き禁止)および賃金固定に関する合意に対して企業や個人に対して刑事訴追を行う意思を表明しました。その後、司法省は「ノー・ポーチ」および/または賃金固定の違反を理由に6件の刑事事件を訴訟提起しました。司法省は、これらのノー・ポーチに関する刑事事件において法廷でいくつかの課題に直面したものの、労働市場制限における懸念に対する執行は依然として高まっています。国際的な競争法規制当局も労働市場での自由に注目しています。例えば、2023年3月に日本の公正取引委員会は、従業員引き抜き禁止、賃金固定、および入札談合の合意に関して、3つの公益事業会社に対し、1,000億円(約6億9,000万ドル)の過去最高額の課徴金を課しました。

米国の競争法と労働市場における最新の動向:FTCが競業避止契約を制限

2023年1月にFTCが従業員の競業避止契約を全面的に禁止する提案を行った後、2024年4月にFTCは競業避止の制限に関する最終規則を公表しました。この規則は、FTC自身の推定によると、99%の非上級幹部職の有給および無給のほとんどの業界の労働者に適用されます。そして、この規則は今後の競業避止契約を制限するだけでなく、既存の契約(上級幹部の既存の契約を除く)を無効化し、雇用者が既存の契約を強制することを禁止します。さらに、雇用者は、2024年9月4日の施行日までに既に競業避止契約を締結している労働者に対して競業避止条項が無効であることの通知義務を負います。

この規則に対しては法的な異議が述べられ、最近では2つの連邦地裁がFTCの権限管轄について相反する判断を下しました。2024年7月23日、ペンシルバニア州東部地区裁判所は、ペンシルバニア州の樹木管理を専門とする小規模事業者によるFTCの権限に対する異議を退け、競業避止契約規則を維持しました。この決定は、FTCが規則を制定する権限に関して、テキサス州北部地区裁判所がRyan, LLC v. FTCにおいて出した仮処分命令の判断とは反対の結果になりました。このケースにおけるテキサス裁判所の最終的な判断は、2024年8月30日までに下される見込みです。米国全土で依然活発な法的な議論が続いており、FTCの競業避止契約禁止の施行が遅れるか、あるいは阻止される可能性もあります。

当法律事務所は、2024年9月5日(木)9:00AM-10:00AM日本時間に本稿をカバーしたウェビナーを開催する予定です。(登録はこちらから REGISTER HERE

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